アニメ・特撮の名曲を語る(その7) マッハバロン
オープニング曲「スーパーロボット マッハバロン」は、Tレックスの「20th Century Boy」(1973)へのオマージュである。
以上。
...と言う訳にもいかないので、蛇足を少し。
グラム・ロックがアニメ・特撮に登場した最初の作品である。作品イメージを既存の音楽要素を再構成する事で作り込む事に腐心していた時代のアニソンではない、メジャー音楽シーンそのものが登場している。アニソンが変わるのは、「映画版 銀河鉄道999」(1979)を待たねばならないが、その萌芽を見て取れる。
今となっては古典的とさえ言えるオーバードライブ・ディストーションを駆使した歪みのあるギターの音色、音数の多いドラム等々、ロックンロールの成分をいかんなく発揮している。
曲の終わり方について触れる。
TVサイズのショート版では、区切りの良い箇所で長音化して曲が終わるが、CD音源ではフェードアウトする。20th Century Boy もフェードアウトする。この形式の似せ方はお茶目である。
フェードアウトは、かつては盛んに使われたが、現代曲では殆どないように思う。その意味で、「ゾンビランドサガリベンジ」(2021)の挿入歌「風の強い日は嫌いか?」(ホワイト竜)のCD音源でのフルコーラス版がフェードアウトだったので、ちょっと驚いた。同曲の、FranChouChouカバー版でフェードアウトしていないのは、作品中における時代の差を表しているのだろう、制作サイドのこだわりが表れている。
「スーパーロボット マッハバロン」は、ROLLYの「グラマラス・ローリー~グラム歌謡を唄う」(2012)でもカバーされている。こちらは原曲を生かしつつ、現代音色でアレンジも多少変え、フェードアウトせずに終わり、現代曲として蘇らせた成功例である。
1970年代からのロックファンにとってはもとより、今新たに聴いても軽妙なカッコよさは失われていない。
全くの蛇足。
フェードアウト(fade out)の反意語は、フェードイン(fade in)、とも限らないが、間違いとも言い切れないが、、、アニメの世界で「フェードイン」とは別の事を指すのは言うまでもない。