ショパンコンクールのこと、もう一話
リ・ユンディが捕まったニュースには笑った。昨日の今日でなんだそれは・・・
なるほど、中国の公安も第18回大会の結果が確定するまで待っていたのだろう。日本国内での、投票日前の選挙違反摘発が殆どないのに似ているか。
コンクールの結果発表前だと、中国系への悪感情を助長しかねず、それでも優勝していたらチャイナマネーを疑われる。
さりとて発表後時間が経ってしまうと、コンクールの興奮が冷めて、やはり中国系への悪感情を想起させてしまう。
身柄を取るなら今しかなかったわけだ。
待っていたのだとすれば、買春が本当なら、常習かつ悪質だったのだろう。
中国の場合、外国人の買春は初犯でも逮捕されることは良くあるが、自国の有名人を挙げるからには、それなりに犯罪の構成要件が整っていたと考えるべきか。一罰百戒的な面はあるのだろう。これも反腐敗運動の一環なのかもしれない。
本当は、中国共産党へ批判的だったのかもしれないし、欧米への移住を企図していたのかもしれない。音楽家を政治犯扱いすると人権重視の欧米との摩擦は避けられないから、別件だったのかもしれない。想像の域は出ない。
リ・ユンディは前回2015年の第17回大会で審査員をしていた。今回は審査員を外れている。深読みすれば、以前からら問題があって外された、のかもしれない。
そうなると、前回優勝のチェ・ソンジンの正統性にも疑問符が付くわけだが、あらためて前回2015年大会の演奏を聞き直してみても、第5回1955年大会で1位になれなかったウラディミール・アシュケナージのような、後々まで物議を醸す対抗馬はいなかったように思う上、一人の審査員だけで結果を左右できる仕組みには既になっていないので、これは問題視する程の事ではないだろう。
世界最高峰のピアノコンクールとされているショパンコンクール Chopin Competition だが、予選からファイナルまで各ステージの演奏をずっと聴いていると、どうしても感覚が鈍ってくるのは否めない。
故人も含めた大御所の名演を聞きたくなる。解釈、美的センス、聴衆への陶酔の誘いは、歴然と差がある。
アルフレッド・コルトーやウラディミール・ホロヴィッツと同じ演奏をして(できると仮定して)、優勝できるかどうか、現代での受容はかなり疑問だが、かと言ってアルトゥール・ルービンシュタインを真似ても(真似ている参加者は結構いるが)優勝はでき(てい)ない。
つまり、若手登竜門とは、その先が長い、という事。若手の今後に期待したい。
間違っても日本のブームに踊らされるな、と言いたい。第11回1985年大会のスタニスラフ・ブーニンの二の舞は避けよ。ちなみに彼は、ソ連崩壊の紆余曲折も経て、着実に成長した・しているので、本当によかった。
大会の歴史といえば、
第1回1927年大会に、ドミートリイ・ショスタコーヴィチが参加していたのを、コンクールのオフィシャルサイトの動画を見ていて初めて知った。
ショパンコンクールを軸に西洋クラシックピアノの世界を眺めるてみると、見落としがたくさん出るのは分かっているが、それでも結構面白い。