素集庵 - hut on a phase transition

散逸構造、形態形成、創発といった用語に触発された思考のメモ書き。趣味から政治の雑感も。

全球凍結の示唆する事

地球物理学で提示されているモデル「全球凍結」(Snowball Earth) は、最近では高校の地学の教科書にも載っていると聞いて、いよいよ定説化してきたと感じる。

地球46億年の歴史の中で、少なくても2回、地表が凍結したという話である。最初に聞いた時には4,5回と言われていたような記憶があるので、回数はその後の議論で減ったのかもしれない。

 

この仮説の、現代社会に示唆する重要な点は、凍結の終わり方にある。

すなわち、気候ジャンプ、地表面での平均気温が60℃以上にもなろうかという、温室効果である。

地球大気温度の安定点は、アルベドが80%を超えるような状態による全球凍結時の-40℃以下、現代の15℃程度、そして、極端な温室効果による60℃以上の辺り、である。

上下の安定点はそれなりに安定で、そこからはなかなか抜け出さない。それに対して現代の気温は、割と不安定に近い安定である。

全球凍結が解ける時、-40℃から60℃へ一気に気温が上がる。15℃では止まらない。

 

現代の温暖化が続き、蓄熱を担っている極地方の氷が全部なくなったら、アイス・アルベド・フィードバックの行き着く先、気候ジャンプしてしまうのではないか、と危惧している。

環境活動家達は、今世紀終わりには今より数度上がる、という絵をよく使っているが、そんなものでは済まないのではないかと思っている。

もちろん、地球システムはそれほど単純ではなく、極地方の氷がなくても、今より多少暖かいという時期は過去にはあったわけだが、原因が温室効果ガスの増大であるから、金星モデルが登場するのもやむを得ない。熱量を宇宙空間に放出できなければ、結論は見えている。

 

気候ジャンプしてしまったら、ビッグファイブを超える大絶滅となる。