素集庵 - hut on a phase transition

散逸構造、形態形成、創発といった用語に触発された思考のメモ書き。趣味から政治の雑感も。

アニメ・特撮の名曲を語る(その2) X電車で行こう

X電車で行こう (1987, OVA, 約50分)

 

-この作品を、ジャズの巨星、デューク・エリントンに捧げます-

オープニングにこの献辞を掲げるこの作品は、全編を通して、有名な「A列車で行こう (Take The "A" Train)」をジャズ・ピアニスト山下洋輔の演奏、アレンジで貫かれる。

楽曲の主題旋律に対する変奏曲の教科書にしたくなるような、インプロビゼーションの発露であるところの、山下の妙技が光る。ぶっ叩き奏法と思しき音も少し現れる。

更にエンディングでは、この曲を、山下のピアノで、矢野顕子スキャットで歌うという、驚きの組み合わせで聴かせてくれる。サントラを出して欲しいと思うほどだ。

曲については、これ以上言う事はない。名演、ここにあり。

 

曲の話から離れるが、この作品は、鉄オタ(鉄道ファン)向けでもある。

「EF5861」と言われてピンとくる様な人は、ぜひとも観るべし。国鉄時代に造られたお召列車の電気機関車の事である。これが幽霊電車”X”となって疾走するお話。

営団地下鉄(現在の東京メトロ)丸の内線四谷三丁目駅有人改札だったりするのは時代を感じさせる。

地下鉄線を疾走する"X"電車が(同)千代田線北千住駅付近で地上に出て、その後 JR身延線(山梨県,静岡県)へ現れるというお話。

千代田線は、使っている人は知っているが、JR常磐線に接続している。なので、実はそのまま全国へ行けてしまう。この辺りの鉄道リアルも何気に楽しめる。

 

アニメファン、音楽ファン、鉄道ファンがそれぞれに楽しめる、秀逸な作品である。